EU化粧品規則(CPNP)とは|EU上市前確認のポイントをわかりやすく解説
更新日:2026年7月1日
定義と概要
EUで化粧品を上市する際の中心的な法規は、Regulation (EC) No 1223/2009 on cosmetic products(EU化粧品規則)です。CPNP(Cosmetic Products Notification Portal)は、この規則に基づく電子的な製品通知システムであり、EU化粧品規則そのものとCPNPは同じものではありません。EU化粧品規則は法規制そのものを指し、CPNPはその規則に基づく通知手段・システムを指します。
EUで上市される化粧品には、EU域内に設置されたResponsible Personが必要です。Responsible Personは、単なる申請代行の担当者ではなく、各製品についてEU化粧品規則の関連義務への適合を確保する法令上の責任主体です。EU域外で製造された化粧品をEUへ輸入する場合、原則としてその製品を上市するimporterがResponsible Personとなりますが、importerは書面によるmandateによって、EU域内に設立された別の者をResponsible Personとして指定することもできます。日本のメーカーが自動的にEUのResponsible Personになるわけではなく、EU importerとResponsible Personが常に同一会社である、あるいは常に別会社であると一律に決まるものでもありません。案件ごとに責任主体・契約関係を確認する必要があります。
Responsible Personは上市前に化粧品の安全性評価を行わせ、Annex Iに従ったCosmetic Product Safety Report(CPSR)を整備する必要があります。CPSRのうちAnnex I Part Bに定めるcosmetic product safety assessmentは、Article 10(2)で定める所定の資格を有する者が行う必要があります。CPSRは単なるCPNP入力項目ではなく、CPNP通知を行ったことをもって安全性評価が不要になるわけでもありません。
PIF(Product Information File)は、上市する化粧品についてResponsible Personが維持する製品情報ファイルであり、製品説明、CPSR、製造方法、GMP適合に関する情報、必要に応じた効能根拠、動物実験に関する所定情報等が含まれます。PIFとCPSRは同じものではなく、CPSRはPIFを構成する重要資料の一つです。また、化粧品の製造についてはEU化粧品規則上GMPに従うことが求められており、EN ISO 22716:2007がharmonised standardとして公表されていますが、第三者機関によるISO22716認証の取得自体がEU上市の絶対条件というわけではありません。
CPNP通知は、CPSRやPIF等の作成とは別の手続きであり、CPSRをCPNPへ登録すれば手続きが完了する、PIF全体をCPNPへアップロードして当局の承認を受ける、CPNP通知が安全性審査に相当する、といった理解はできません。また、EU化粧品規則には、禁止成分・制限成分・使用可能な着色料・防腐剤・UVフィルター等に関するAnnexによる成分規制や、Article 19に基づくラベル表示要求があり、日本向けで使用可能な原料や表示内容が、そのまま同じ条件でEUでも使用できるとは限りません。Regulation (EU) 2023/1545により新たな香料アレルゲン表示要件が導入されています。2026年7月31日より前にEU市場へ上市された対象製品には2028年7月31日までの移行措置があります。新規上市製品は、上市時点の現行Annex IIIおよび適用される移行規定を確認する必要があります。
化粧品OEMではどう関係する?
化粧品OEMでEU向け商品を企画する場合は、企画初期に、EU上の商品区分、Responsible Person、処方・原料、claims、安全性評価、CPSR、PIF、表示等を整理します。
製造者、輸入者、Responsible Person、ブランド、化粧品OEM会社等について、誰がどの役割を担い、GMP、PIF、CPNP通知、表示更新等をどのように管理するかを整理することも重要です。OEM会社へ依頼したからといって、Responsible Person対応、CPSR、PIF、CPNP通知、EU表示確認、EU法規確認等がすべて自動的に完了するわけではありません。
実務で確認したいポイント
- Responsible PersonEU域内に設置されたResponsible Personが誰になるか、輸入者との関係を含めて確認します。
- 安全性評価・CPSRAnnex Iに従ったCPSRの整備状況と、Part Bの安全性評価をArticle 10(2)所定の資格を有する者が行っていることを確認します。
- PIF・GMPPIFに含まれる情報とGMP適合状況を確認します。第三者認証の要否は個別に判断します。
- 表示・CPNP通知Article 19等に基づく表示要件とCPNP通知の内容が整合しているかを確認します。
次に確認したいこと
混同しやすい点・注意点
- CPNP通知は、EU当局による販売承認や認証ではありません。
- CPSR、PIF、CPNPはそれぞれ別のものであり、同じ意味ではありません。
- Responsible Personは、単なる通知代行の担当者ではありません。
- 日本向けの処方・表示を、そのままEUへ流用できるとは限りません。
- ISO22716の第三者認証取得は、EU上市の絶対条件というわけではありません。
- 米国の施設登録・製品リスティング(米国FDA化粧品規制)や、中国の登録・備案(中国NMPA化粧品登録)とEUのCPNP通知は、法的性質の異なる別制度です。
- 一定のナノマテリアルを含む化粧品には追加の通知要件が関係する場合があり、CPNPへclaimsを通知したことは、その効能をEUの当局が承認したことを意味しません。
- 英国等EU域外の地域には、別途その地域の制度を確認する必要があります。
出典・参考
- EUR-Lex「Regulation (EC) No 1223/2009 on cosmetic products」
- European Commission「Cosmetic Products Notification Portal」
- EUR-Lex「Commission Regulation (EU) 2023/1545」