米国FDA化粧品規制とは|米国上市前・MoCRA対応の確認ポイントをわかりやすく解説
更新日:2026年7月1日
定義と概要
米国FDA化粧品規制とは、米国で化粧品を流通・販売する際に関係する、Federal Food, Drug, and Cosmetic Act(FD&C Act)、Fair Packaging and Labeling Act(FPLA)、Modernization of Cosmetics Regulation Act of 2022(MoCRA)等を含む、米国連邦レベルの化粧品規制の総称です。「米国FDA化粧品規制」という単独の法律が存在するわけではありません。
米国では、一般的な化粧品及び化粧品成分について、原則としてFDAによる上市前の製品承認は必要とされていません。ただし、色素添加物(color additives)には上市前承認に関する制度が関係し、一部の成分には禁止・制限もあります。上市前承認の制度がないことをもって、米国でFDA規制を受けない、または成分・表示を自由に決められるという意味にはなりません。
2022年に成立したMoCRAは、FDAの化粧品に対する権限を拡張し、化粧品業界に新しい要件を設けています。米国で流通する化粧品を製造・加工する対象施設については、FDAへの施設登録が関係し、登録後も定期的な更新や変更管理が必要です。また、米国で販売される各化粧品については、Responsible Personによる製品リスティングが関係します。施設登録と製品リスティングは別の手続きであり、いずれもFDAによる製品の承認・認定・推奨を意味するものではありません。FDA自身も、施設登録や製品リスティングはcosmetic approval programではなく、FDAが登録・リスティングについてcertificateを発行するものでもないと説明しています。
MoCRAはFDAに対し、化粧品製造施設のGMP(Good Manufacturing Practice)に関する規則を策定することも求めていますが、この規則がすでに最終確定・全面施行されているとは限らず、最新のFDA公式情報を確認する必要があります。
MoCRA上のResponsible Personは、化粧品ラベルにその名称が表示されるmanufacturer、packer、distributorのいずれかに該当する事業者として定義されています。外国の製造・加工施設が施設登録を行う場合はU.S. agentが必要となりますが、U.S. agentとResponsible Personは同じ役割ではなく、案件ごとに誰がResponsible Personとなるかを確認する必要があります。Responsible Personには、化粧品についてadequate substantiation of safety(安全性の適切な裏付け)を確保し、その裏付けとなる記録を維持することや、重大な有害事象を所定の期限内にFDAへ報告することが関係します。
米国では、商品がcosmeticかdrugかは、疾病の診断・治療・緩和・予防を目的とするか、身体の構造・機能へ作用することを目的とするかといったintended useによって判断され、ラベルや広告等の訴求内容もその判断材料になります。日本で化粧品として扱われる商品が、米国でも必ずcosmeticとして扱われるとは限りません。また、米国外で製造された輸入化粧品にも、米国内製造品と同様に米国の連邦規制が適用され、FDAの連邦規制を確認するだけで、州法その他の要求を含む米国内の規制対応がすべて完了するわけでもありません。
化粧品OEMではどう関係する?
化粧品OEMで米国向け商品を企画する場合は、早い段階で、米国上の商品区分、処方・原料、claims、ラベル、製造・加工施設、Responsible Person等を整理します。
施設登録、製品リスティング、安全性根拠の準備、有害事象対応、U.S. agent等について、どの事業者がどの役割を担うかを整理することも重要です。化粧品OEM会社へ依頼したからといって、FDA登録、製品リスティング、Responsible Person対応、安全性根拠の作成、米国側の法規確認がすべて自動的に完了するわけではありません。
実務で確認したいポイント
- 商品区分・claims訴求内容によってcosmeticではなくdrug寄りの規制が関係する場合がないか、ラベルや広告等のclaimsを確認します。
- 施設登録米国で流通する化粧品を製造・加工する施設について、FDAへの施設登録の要否と更新・変更管理を確認します。
- 製品リスティング・Responsible Person誰がResponsible Personとなり、製品リスティングを行うかを確認します。
- 安全性・市販後対応安全性の裏付けとなる記録の整備、重大な有害事象が発生した場合の報告体制を確認します。
次に確認したいこと
混同しやすい点・注意点
- FDAへの施設登録や製品リスティングは、FDAによる製品の承認や推奨を意味しません。
- 一般的な化粧品は、原則としてFDAの上市前製品承認を受ける制度の対象ではありません。
- Responsible PersonとU.S. agentは、同じ役割ではありません。
- 日本で化粧品として扱われる商品が、米国でも必ずcosmeticとして扱われるとは限りません。
- FDAの連邦規制を確認するだけで、州法その他を含む米国内の規制対応がすべて完了するわけではありません。
- MoCRAの小規模事業者等に対する適用除外は、すべての義務を一律に免除するものではありません。
出典・参考
- U.S. FDA「Modernization of Cosmetics Regulation Act of 2022 (MoCRA)」
- U.S. FDA「Registration & Listing of Cosmetic Product Facilities and Products」
- U.S. FDA「FD&C Act Chapter VI: Cosmetics」